この授業は政策に関する基本的素養を身につけてもらうことを目標としており、履修者の多くは1年生です。
僕に与えられたテーマは「民主主義」。
授業に際して上山先生から以下の指令がありました。
- 受講生は大学1年生の理系を想定せよ
- 教科書(佐々木毅『民主主義という不思議な仕組み』ちくまプリマー新書、2007年)のレベルを越えることはやるな
- 学説紹介は禁止
授業計画を作ってはダメ出しのくり返し。
授業までに10回以上メールのやり取りをしました。
いやはや、めちゃくちゃ多忙な先生なのですが、授業のクオリティを追求する姿勢は本当にすごい。素晴らしいトレーニングの機会になりました。この経験を文教大学での授業にも還元したいと思います。
★★
最終的に先生にOKを頂いた授業設計は以下のかたちになりました。
(その際の先生からの返信は「OK WELL DONE THANX! GOOD LUCK 」。さすが元マッキンゼー笑)
- 授業タイトル:「民主主義のアンラーニング〜俯瞰的視点から政治を見る〜」
- 授業構成:ワークショップ45分+講義45分
「これまで君たちが教わってきた民主主義の話をアンラーニングする。それがこの授業の目的」という宣言で授業スタート(笑)
★★
ワークショップの設計については先生からたくさん怒られました。
「君はワークショップの意義を全くわかってない。君の設計は、自分のシナリオや意見を学生に押し付けようとしているようにしか見えない。ワークショップには「正解」は必要ない。学生がまったく見当違いの議論をしていても良いんだよ。学生が自分の力で、現状から少しでもストレッチできれば良いんだ。」
これは一生ものの指摘でしたね。頭にズコーンと来ました。
★★
ワークショップのテーマは、「民主主義のフィクション性について考える」。
ここでいうフィクション性には2つの意味があります。
ひとつは、民主主義の「1人1票の原則」を「全員参加」「全員平等」のシステムと【みなす】ことで、民主主義の結果に正当性を持たせること。
もうひとつは、民主主義では、少数意見の切り捨てが起こったり、経済力がなければ選挙に出れないといった様々な問題があり、「全員参加」と「全員平等」というのは【建前】に過ぎないということ。
シンプルですが、この【みなし】と【建前】がいかにバランスするかが民主主義の本質です。【みなし】が成立しなければ民主主義はワークしないけど、それは【建前】なので、さまざまな矛盾が出てくる。それにどう向き合っていくかを考える。
小、中、高校では民主主義の【みなし】の部分しか教えてくれません。民主主義は平等を実現する最高の政治システムだという思い込みをアンラーニングするのが授業の狙いでした。
★★
ワークショップ後の講義では、オリジナルの年表を作って、民主主義の歴史と展開を説明しました。民主主義の主要論点は古代ギリシャで出尽くしているぞ、と。17〜18世紀は思想が政治を動かしていたぞ、と。そんな話をしました。
授業のレジメと年表をWebにアップしたので、ぜひご覧ください。
⇒レジメ(Word)
⇒年表(Word)
ワークショップのフローと講義のレジメを同じプリントに載せて配ったところ、
上山先生から一喝。
「必要ない情報を載せるな。議論の誘導になるだろ。これだから日本の教育を受けてきた奴はダメなんだ」
こえ〜〜〜!
けっきょく授業でも怒られてしまいました。いやはや、勉強になりましたよ。
ブログのタイトルに「しごき」って書きましたが、先生からすると「こんなのしごきの内に入らないし」ってところでしょうねー(笑)
いつか先生に授業指導できるようがむばるぞー
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