今年度から、杉並区立和田中学校の総合学習授業の設計に関わっています。
今日も打ち合わせで和田中に行って来ました。
校長室で打ち合わせをしていたのですが、それが終わると、生徒たちが校長室に雪崩れ込んできました。下は椅子をとられて困っている校長先生。
和田中学校の校長室は基本的にオープンで、生徒でも気軽に出入りできます。マンガも置いてあります。校長先生と生徒の距離はめちゃくちゃちかいです。下は生徒が校外学習でつくった干物をお土産でもらい喜んでいる校長先生(顔ぶれぶれ)。
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和田中学校は、リクルート出身の藤原和博さんが民間校長を務めていたことで有名です。
藤原さんは、都内初の公立中学校の民間校長として、PTAの廃止、大手の進学塾講師を学校に招いて有料で補習授業を行なう「夜スペ」や、地域の大人を授業に巻き込み自営業者やホームレスを講師に迎える「よのなか科」などを実施し、公立学校の常識を覆してきました。
いやはや、規則と慣習でガッチガチの公立学校でこれをやったのは本当にすごい。よく考えると、リクルート×公立中学校っていちばんミスマッチな関係のような・・・笑 藤原さんが校長に着任した時点で革命は始まっていたのでしょうねぇ。
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この授業は総合的な学習の時間に行います。3年生は、隔週で2コマずつ約25回(年間約50コマ)、1,2年生は、月1回の年間10コマをよのなか科nextに使っています。
なぜ僕が「よのなか科next」のお手伝いをすることになったのかというと、この授業と、僕の研究対象である「討論型世論調査」の設計思想が非常に似通っていたからです。僕の親しい後輩が研究の関係で和田中学校に出入りをしていて、討論型世論調査とよのなか科nextの親和性に気づいて、僕と代田先生を引き合わせてくれたのです。
「よのなか科next」は、「今の生徒たちが10年後、必ずや直面し解決していかなくてはならない社会の重要なテーマ」について、個別学習・グループ学習・全体学習を組み合わせて、生徒の【考える力】【伝える力】【聴く力】を伸ばし、社会で活躍するために必要となる、【他者と対話する力】を培うことを目的としています。
他方で討論型世論調査の目的は、世の中で意見が対立している政策課題について、一般の市民が【話し】、【学び】、【考える】というプロセスを体験することで、その問題についてじっくりと自分の考えを深める機会を提供することにあります。具体的にはランダムサンプリングを経て200〜300人の市民を集め、資料やデータの提供、市民同士の討論、専門家との質疑応答という「熟議」の機会を提供して、熟議の前後で市民の意見がいかに変化したのかを検証します。
僕は2009年の秋から曽根泰教先生のもとで討論型世論調査の企画設計や運営に関わってきました。2010年には藤沢市で2度の調査を行い、2011年には日本で初めて全国規模での調査を実施しました。この調査で得たノウハウで誰かのお役に立てないかなと思っていたところ、代田先生と出会ったというわけです。運が良かったです。
★★
今年度の「よのなか科next」では、これまで「風評被害問題」と「がれき処理問題」を扱いました。がれき処理問題の回はNHKのニュース9などで取り上げられました。(こちらのブログで報道の様子が紹介されています)
よのなか科nextでのアンケート結果は後日分析を行い、公表する予定です(代田先生や研究パートナーと相談中)。また、よのなか科nextの授業によって生徒たちにどのような変化が生まれたのかも、継続的にアンケートをとって検証していきます。
次回の「よのなか科next」は原発再稼働問題。現在鋭意準備中です。こちらのブログでも授業の内容をご紹介できればと思っています。
最後に校長先生と生徒さんたちの写真を一枚。
こういう雰囲気の学校だから、心から「お役に立ちたい!」と思えるのでしょうねぇ。
それはそうと、頭に巻いてるのは何だろう?(笑)
それはそうと、頭に巻いてるのは何だろう?(笑)